【from Editor】85歳の熱い魂(産経新聞)

 「近ごろの子供は、腰に粘りがない。だから外国人選手と一対一になると振り切られてしまうのです。私たちが小さいころは、遊びというと相撲でした。土俵際、相手の投げや寄りを懸命にこらえたものです。それで、足腰が自然と鍛えられていた。だが、いまの子供は相撲をとらない。だから、横に振られても粘れないのです」

 サッカーJリーグの開幕直前、大阪市内のホテルで鬼武健二チェアマンとの懇親会があった。まだ、ワールドカップ(W杯)が、日本で開催されるのも夢物語だった17年ほど前に、当時ヤンマーのサッカープロ化推進室長だった鬼武さんにインタビューしたことがある。それで、足を運んでみたのだが、さすがにチェアマンもこの日はサッカー担当記者に囲まれ、当方も名刺をいただくのがやっと、というありさまだった。

 だが、その席で、もうひとり、ようやくお会いできた大先輩がいる。現役最年長のサッカーライター、賀川浩さんである。元サンケイスポーツ編集局長で、おん年85歳。しかし、小柄なからだでパーティー会場を縦横に動き回っておられた。冒頭は、日本のサッカーはどうあるべきかについて質問したときの賀川さんの言葉である。

 「とにかく、日本人には日本人のサッカーがある。からだは小さい。だが、敏捷(びんしょう)性はある。それが日本人の特性です。その特性を生かすことを考えればいい。だから、いまの日本代表のやろうとしていることは、間違ってはいないと思う」

 今回の日本代表に悲観的な意見を述べた僕は、こうしてやんわりと諭された。

 言葉に説得力があるのは、ただ、お年を召しているから、というだけではなかろう。世界最高峰の大会の今昔を知り、日本サッカーの挑戦の歴史をその目で見続けてきたというジャーナリストとしての厚みのせいに違いない。賀川さんは、1974年の西ドイツ大会から前回06年ドイツ大会まで、連続でW杯を取材してきた記者だ。次の南アフリカ大会に行けば、10大会連続となる。

 「ええ、今回も行くつもりです。医者はうるさいですけど…」

 その会場で、首からカメラをぶらさげていたのは、賀川さんだけだった。なぜか、それに感心させられた。若い記者たちも大勢いた。しかし、サッカージャーナリストとしての魂の熱さを誰よりも発していたのは、このベテラン記者のように思えてならなかった。(大阪運動部長 正木利和)

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